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日本癌治療学会について

 

理事長挨拶

平成23年12月14日
一般社団法人日本癌治療学会
理事長 西山 正彦


 

 
   

 日本癌治療学会は,Oncology professionals (practitioners) 17,000名強の会員によって構成される本邦最大のがん臨床系専門学会であります。その目的は,「がんの予防,診断及び治療に関する研究の連絡,提携及び促進を図り,がんの医療の進歩普及に貢献し,もって学術文化の発展及び人類の福祉に寄与すること」にあり,来年度(2012年度)で設立50年を迎えます。

 がんの制圧は世界共通の悲願であり,その実現には,医療専門職はもちろんのこと,受療者,家族,国民,立法,行政,関連学会,すべての関係者が,総力を挙げてこれに向かう必要があります。日本癌治療学会はがん臨床・ケアに関わる全領域の会員の結合体で,求められるその役割,責務は,まさに「その中心となってがんに挑むこと」であります。当然,その活動は年々充実・拡大し,「臨床試験実施ガイドライン」や「がん臨床研究の利益相反に関する指針」の作成,がん臨床試験研究助成プログラム制度の創設,厚生労働省委託事業「がん医療を専門とする医師の学習プログラムeラーニング」の受託,「がん診療ガイドライン」の公開,がん治療認定医制度への参画,認定データマネージャー制度の運営,市民公開講座やアップデート教育コースの開催,がん患者診療体制の支援整備など,先端医療研究とともに実践医療の基盤整備関連事業や教育・啓発活動なども積極的に行なってきました。また,学術集会においても,学術交流,会員教育のみではなく,Patient advocate leadership program や ASCO, ESMO などとの定期的国際交流,学会提言など,社会ヘ向けての情報発信も重視しています。“学術研究活動のみではなく,知的資産の提供を持って社会責務を果たす”,こうした半世紀にわたる活動は国内外からの高い評価を受け,会員数,学術集会の演題数,参加者数,また2誌となった学会(英文)誌への投稿数なども着実に増加し続けています。

 しかしながら,本邦とそのがん医療を取り巻く環境の急速な変化により,さらなる進化(国際化,教育活動の拡充・促進,そして事務組織の整備・拡充)が求められています。

 がん医療のグローバル化が急速に進み,すでに,国際協調なくして先端的な医療開発も,日常医療(標準的治療や日常診療ガイドラインの作成)も成り立たない時代となりつつあります。日本癌治療学会は,「非感染性疾患に関する国連サミット政治宣言」を受けて,国際協調のもとがん医療の改善に努めることを宣言し,同時に,その具体策のひとつとしてアジアにおけるがん治療開発の学術拠点となる新規協議会の設立に向けて動き出しています。治療応答の人種差やその基盤となるゲノム・遺伝子情報が明らかとなりつつある今,「アジア」は,今後の本邦におけるがん医療向上のためのキーワードとなっていきます。

 一方国内では,いまだ国民のがん医療に対する不安,不信は根強く,一刻も早い解決が求められています。“共通知識・認識あっての相互理解”,国民へのがん教育は極めて重要な意味を持ちます。今も罹患してはじめてこの疾患を直視する国民が多く,罹る前からの“がん教育”,特に学校教育段階のそれは肉体的精神的に多くの人々を救うことになります。また,受療者が満足できる治療を選択していくための支援を行う人材の養成も社会のニーズです。がん医療が高度化複雑化するにつれ,医療者側と受療者側の知識,経験のギャップは年々大きくなります。受療者や家族に寄り添い,このギャップを埋める人材なくして,受療者が後悔しない治療を選択することは困難となりつつあります。日本癌治療学会は,教育・広報活動の範囲をさらに広げ,学校教育への支援やがん医療コーディネーター(仮称)養成にも,最新の科学的情報の提供を持って関わっていかねばならないと考えております。

 最後は,これらの活動を支える事務局の整備,拡充です。現状での対応は限界に達しており,早急な対応が必要です。現在,京都の既存事務局に加え,東京事務局を新設する検討が開始されています。

 進歩は新たな課題を生みます。本学会の長い歴史や伝統と実績,そして前原前理事長が進めて来られた事業を継承すると同時に,開かれた学会として,また,国際中心のひとつとしての新たなステップアップが強く求められております。日本癌治療学会の第5代理事長として,この難課題に全力を挙げて取り組んでまいります。会員の皆様,また,学会支援者の皆様には,なにとぞより一層のご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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日本癌治療学会 (Japan Society of Clinical Oncology)